「あー、お見舞いに来てくれたの?」
「こんにちはー妹ちゃん!
どう、キョンの具合?」
「うん。ずっと寝てるよー。
熱はまだ下がらないみたい。」
キョンが風邪をひいた。
今回はどう考えてもあたしのせいだった。
部活中、コンビニに買い物に走らせて。
その時雨が降り始めた。
キョンは傘を持ってなくて、もう秋も深い雨にあたって。
帰ってきた時はびしょぬれになってた。
その姿を見たみくるちゃんがあわててタオルを渡そうと走ったけど。
その役は私がやりたくて。
でも、みくるちゃんが手渡すタオルを嬉しそうに受けとるキョンを見て。
腹立たしくなって。
タオルを渡しちゃダメって言った。
…バッカみたい。
私。
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「キョンくん?ハルにゃん来てくれたよぉ?」
「キョン?」
部屋に入っていくと、キョンは眠っていた。
まだ頬が赤くて、熱が下がってない。
少し呼吸が苦しそうだった。
「…苦しそうね。」
「うん、でも薬は効いてきたってお母さん言ってたから。
お母さん看護師さんなんだよ?」
「そう、なんだ。」
キョンのお母さんが。じゃあ安心なのかな。
でもそれも初めて聞いた。
そういえばキョンのこと、あまり知らない。
いつも何も聞かないから。
いつも何も言わないから。
それで一緒にいてくれるから。
こんなにつらそうな顔してまで。
「…ごめんね。」
今は眠ってるから、「気にするな」って言わないけど。
きっとそう言うんだろうな。
だから今言っとく。
「ごめんね、キョン。
いつも迷惑かけて。」
早く熱が下がればいいな。
願いが通じたのかな。
キョンが学校に来たのは、その翌日だった。
end
勝手にキョン君のお母さんの設定を。
病院勤務じゃなくて診療所勤務とかで想像してください;;
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